切削加工時に発生しやすいトラブルと原因

切削加工にトラブルはつきものですが、生産効率の低下といった問題につながることもあるため、できる限り防止に努めたいものです。ここではトラブルが発生した際に考えられる損失・原因と、その対策法をまとめてみました。

切削加工トラブルが起こった際に予想される損失

切削加工トラブルのひとつとして考えられる、工具折損。これは、「切削条件にムリがある」「機械に十分な剛性がない」ために、工具への負荷が大きくなることで起こるトラブルです。

切削加工時に工具が破損してしまうとスケジュール通りに生産が進まなくなるだけでなく、加工不良や機械へのダメージ・故障などの不具合も増加。生産性が大きく低下し、重大な機会損失につながる恐れがあります。

また、加工品質が悪くなると企業としての信頼度の低下や、顧客からのクレームにもつながる恐れがあるため、早急な対策が必要となるでしょう。

切削加工トラブルの主な原因

切削加工トラブルの主な原因として挙げられるのは、切り屑・ビビり・チッピング・バリ・構成刃先です。

切り屑とは切削加工時に発生する切りくずのことで、うまく排出しないと加工不良・工具折損などのトラブルにつながります。ビビりは小さなたわみの連続による振動で、仕上げ面の劣化・機械の故障などを引き起こすものです。バリとは、加工の際に発生する意図せぬ金属の突起・残留物のこと。放置すると、その後の工程を遅らせるだけでなく、従業員負傷の原因ともなり得ます。

チッピングとは、切削工具の先端が小さく欠けること。どんなに小さくても機械停止につながる恐れがあるため、早期発見・対策が必要です。構成刃先は、切削加工時の圧力と摩擦熱により、工具の切れ刃・すくい面に溶着してしまうこと。仕上げ面を劣化させる原因となり得ます。

稼働時にできる切削加工トラブルの防止策

切削加工時に発生するトラブルは数多くあり、それぞれの原因に合わせて対策をとる必要があります。

切り屑の排出については、主軸の回転数・切り込み量・送り速度といった切削条件の調整が有効。チップブレーカー付きの工具を使用する、といった手段もあります。ビビりについては、剛性の高い工具の選定・加工条件の見直しが重要。とくに、切削負荷の軽減が重要となるでしょう。チッピングやバリ、構成刃先の防止についても、工具選定・切削条件の見直し対策が効果的とされています。

また、スイス型CNC自動旋盤を導入するのもひとつの手段です。主軸移動型のスイス型CNC自動旋盤ではガイドブッシュの近くで加工が行われるため、ビビりやたわみといったトラブルを抑える効果が期待できます。

次のリンク先では、「スイス型CNC自動旋盤」の実力を動画やインタビューなどで解説しています。精密部品製造業者が知りたいQ＆Aもまとめていますので、ぜひご覧ください。

「スイス型CNC自動旋盤」が
世界で選ばれる理由を読む

切削加工トラブルが発生した場合にメーカーが行うこと

切削加工にある程度のトラブルはつきものですが、あまりにも頻発するようでは生産効率はもちろん、企業の信頼にも影響が及びます。まずは、なぜトラブルが発生するのかといった原因を追究し、それぞれの原因に合わせた対策をしっかりと行うことが重要です。

また、場合によっては工作機械である自動旋盤をリプレイスすることも視野に入れてみると良いでしょう。