当サイトでは、スイス型CNC自動旋盤とその他のCNC旋盤の違い・用途などを解説していますが、ここでは「なぜ、世界でスイス型CNC自動旋盤が選ばれているのか」といった理由についてクローズアップ。より詳しい情報を知るために、国内でスイス型CNC自動旋盤を取り扱っているスター精密に取材協力を仰ぎました。
時計の精密部品を加工するため、1870年代にスイスで考案されたスイス型自動旋盤。主軸が移動するため「主軸移動型自動旋盤」とも呼ばれており、細長い部品でも精度の高い切削を実現できるのが特徴です。近年では医療機器や自動車部品など、厳しい品質を求められる部品加工に用いられています。
スイス型CNC自動旋盤はガイドブッシュで材料を支えて加工を行うため、たわみを防ぎながら同一の部品を大量生産できるのが強みのひとつ。加工の生産性向上と省人化によってコスト削減が加速している世界中の製造現場において、ニーズにマッチしているのがスイス型CNC自動旋盤なのです。スイスで誕生した機器ですが、日本の技術によって進化を遂げたスイス型自動旋盤は、世界的に高い評価を得ています。
ましなりくん
スイス型CNC自動旋盤を9シリーズ展開する会社を直撃!
2023年4月に、スイス型CNC自動旋盤の新たなシリーズ「SD-26」を全世界に向けて販売開始する【スター精密】の方に、スイス型CNC自動旋盤の“いいところ”を旋盤代表として聞いてきたよ。
僕たちマシンにも優しい切削技術の改良・開発ストーリーも注目してみてね。
スター精密株式会社は、1950年7月に設立されたメーカーです。腕時計やカメラ用の部品製造・販売からスタートし、工作機械製造の歴史は、それらの精密部品加工に適した機械を自社で内製したところから始まりました。日本のみならず、世界各国の製造メーカーが新たな部品加工の可能性を開拓できるよう、ユーザー目線の開発を重ねながら、工作機械とその技術を提供し続けています。
高機能化が進む自動車産業、小型化が進むデジタル機器といった各種先端製品において、必要不可欠となるのが高精度かつ小型の部品類。主力のスイス型CNC自動旋盤を筆頭に、こういった部品の加工ニーズに応える工作機械で部品産業を支えているのが、スター精密なのです。
スイス型CNC自動旋盤には、どのような機能と魅力が秘められているのでしょうか?スター精密の製品動画を参考に、分かりやすく情報をご紹介していきます。
直径より全長寸法が長い部品でも、安定した精度での切削加工を可能とするスイス型CNC自動旋盤。スター精密のスイス型CNC自動旋盤「SB-20R typeG」は、ガイドブッシュ⇔ノンガイドブッシュの切り換え機構が搭載されており、加工部品に適した加工を実現しているのが強みです。
ガイドブッシュでたわみを抑制しつつ、精度の高い加工を実現。また、ノンガイドブッシュに切り換えれば残材が短くなり、材料コスト削減も期待できます。さらに、スター精密独自のスラント型すべり案内面構造を搭載しており、刃物台の剛性をアップ。加工目的別に、4つのタイプの刃物台から選択できるのも特徴のひとつです。目的に合わせて刃物台と工具を選んでツーリングを組み上げる、このバリエーションの多彩さがスイス型CNC自動旋盤「SB-20R typeG」の強みと言えるでしょう。
G.B./N.G.B.切換え機構で、長尺部品にも短尺部品にも柔軟に対応できるのが、スイス型CNC自動旋盤「SB-20R typeG」の魅力。スター精密のHPでは、さらに詳しい情報や資料を閲覧できますので、最大加工径別や刃物台構成別にチェックしてみてください。
スター精密の社員に、「スイス型CNC自動旋盤」でできることや、自社製品の特徴・強みなどをうかがいました。製品選びのご参考に、ぜひご一読ください。
多く加工されている素材としては、鉄系材料では、S45CやSCr435、SCM430などの鉄鋼、合金鋼やSUS303、SUS304、SUS316、SUS630をはじめとするステンレス鋼が挙げられます。非鉄材料では、A6061、A5056などのアルミ材、C1100、C3604をはじめとする銅および銅合金もよく加工されています。
また、最近では難削材と呼ばれるSKH材、SKD材、Ti材などの加工や樹脂材の加工にも使われています。
スイス型CNC自動旋盤では、最大φ38mmまでの加工が可能です。高精度部品の連続加工が得意な機械ですので、自動車、通信、医療、空圧機器、事務用品などある程度まとまった加工数量が求められる現場での利用が多いです。
加工数量の決まりはありません。月に1個~数十万個まで、お客様の事業形態により様々ですので、ご不明点は、お気軽にご相談ください。
スイス型CNC自動旋盤はφ38mm、固定型旋盤(CNC自動旋盤)はφ51mmが最大となります。
弊社で扱っている、どの機種も適しています。強いて挙げるのであれば、価格と機能のバランスから「SB-20R type G」が使われることが多いです。
もちろん可能です。モニターは、日本語、英語、中国語をはじめ、様々な言語に対応しているので、海外でも広くご使用いただいております。また、視覚的にわかりやすい表記を使用しているので、すぐ操作に慣れていただけると思います。
可能です。初めてお問い合わせされる方は、公式ホームページよりご連絡ください。担当セールスが対応いたします。また、工場見学時には、ショールームにて最新の機種もご覧いただけます。
担当エンジニアがお客様を訪問し、工場出荷時と同じ状態に機械を立ち上げます。特定の部品加工をご希望するお客様については、お客様にて部品を加工できる状態にし、部品の精度確認も行っていただきます(部品加工については、別途ご相談を承ります)。
精度確認後、お客様が機械を使いこなしていただけるよう、操作説明やプログラム作成方法について、担当エンジニアが細かくレクチャーをさせていただきます。
加工後の切り屑は、チップバケットに回収されます。伸びた切り屑が発生する場合は、チップバケットが比較的早く満杯になってしまうため、できる限り細かい切り屑に分断してチップバケットの容量を有効に使うことが“長時間無人稼働”の秘訣です。
サービスセンターにご連絡ください。各営業所にはエンジニアがおりますので迅速な対応が可能です。できる限りお客様の機械を止めないことを優先して対応させていただきます。
ましなりくん
スマホを使ってトラブルを早くスムーズに解決!
スター精密では「acty」という遠隔サポートシステム*を活用して、お客様をサポートしているよ。電話では、うまく不具合が説明できない時でも、カメラで写した映像を見ながらリアルタイムで詳しく調べて判断してくれるから、とっても便利。スマホのビデオ通話でメンテナンスまで対応してくれるのは、うれしいよね!
ここでは、実際にスター精密のスイス型CNC自動旋盤を現場に導入したユーザーからの声を取材しました。スイス型CNC自動旋盤の使い心地や生産性の向上など、導入に関する効果をぜひチェックしてみてください。
スター機は、他社よりもサイクルタイムが1、2割程度短く、量産部品の加工では非常にメリットがある。
スター機は、クシ刃にパワーがあり、挽目も綺麗に出るのが強み。
ステップサイクル・プロは、推奨設定から条件変更しなくても問題なく切り屑が分断できており非常に良い。操作も簡単なので、どの作業者でも問題なく使いこなせる。
ところで、「ステップサイクル・プロ」ってなに?
ましなりくん
ステップサイクル・プロとは、振動切削あるいは揺動切削と呼ばれる加工方法です。主軸の回転周期に合わせて任意の制御軸(X,Y,Z)を振動させることにより、切削中に空振り領域を発生。これによって、切り屑を分断させる技術となります。
切り屑を細かく分断して断続的に排出することにより、ワークへの絡みつきを防止して不良品を大きく削減。さらに、機械停止トラブルを減らすことで従業員の負荷軽減も期待できます。多彩な加工形状・材質にも対応可能で、切削中のトラブルを低減できる新しい技術のひとつなのです。
条件:材質(A6061)、材料径ø16mm、回転数4,000min-1、送り速度0.04mm/rev、切込み量2㎜
条件:材質(A6061)、材料径ø16mm、回転数4,000min-1、送り速度0.05mm/rev、切込み量3㎜
専用画面で加工条件(主軸回転速度〈S〉/送り速度〈F〉)を入力するだけで、推奨条件を自動で算出。刃先の最大切削送り速度が表示されるだけでなく、右下にある「作成」ボタンを押すと、プログラム挿入も簡単にできます。
スター精密では、スイス型CNC自動旋盤の新シリーズとして最大加工径φ26mmの「SD-26」を開発・発表。その開発を担当した第一開発室の浅羽洋平さんにSD-26の特徴を聞きました。
SD-26は、「スイス型CNC自動盤のボリュームゾーン(φ8mm~φ26mm)をカバーする新しいバーレンジ」が企画コンセプトです。このコンセプトが大枠として決まったあと、開発がスタートしました。
構想設計を進める中で、「スター精密の技術力をアピールする新技術の展開」「ツーリングの充実」「作業性の向上」「4typeのラインナップ」など、かなりボリュームの大きなテーマが挙がってきたため、非常にチャレンジしがいのある新製品企画となりました。
新技術として挙げられるのは、第二B軸の搭載(type S)と、専用となるカートリッジタイプの新規工具ユニットの開発です。これらは、(スター精密の)スイス型CNC自動旋盤では初の試みとなります。特に、ピッチの異なるネジを加工できるツインスレッドワーリングについては、医療業界のユーザー様向けにインパクトのあるソリューションを提案できると自負しています。
また、スター精密では初となるバック刃物台専用のバイトホルダーもオプションとして用意しました。これにより、従来のスリーブタイプのバイトではなく角シャンクバイトの取り付けが可能となり、より高剛性・高精度の加工を実現できるようになりました。
SD-26は、加工用途に応じて最適な刃物台仕様を選択できる4タイプ展開となっています。ラインナップは、ハイエンド(type S)からエントリーモデル(type C)までの4タイプです。
例えばtypeSは、プログラムによる同時5軸制御が可能な工具旋回制御軸(B軸)が付いた4軸対向型ミリングユニットを搭載。エントリーモデルのtypeCは、4軸対向型ミリングユニットを手動で角度調整できるようになっています。
ユーザーのニーズに合わせて最適な仕様を選べる機種となっており、これについては2022年11月に開催されたJIMTOF2022でもお客様から大きな反響をいただきました。
もともとは精密部品加工業としてスタートし、今ではその工作機械を自社製造できるまで技術力を磨いてきたスター精密。“精密”を追求する姿勢は日々進化し続けており、スイス型CNC自動旋盤をはじめ、様々な機器を開発・製造しています。
ユーザーニーズに合わせて選べる柔軟性が特徴の「SD-26シリーズ」など、スター精密の製品は今後ますます世界でも発展を遂げるでしょう。「さらに良い性能のものを提供したい」というあくなき姿勢から生まれるスター精密のスイス型CNC自動旋盤は、品質・使用感などの高さで業界からも注目を集める存在なのです。
ましなりくん
購入からメンテナンスまで、すぐに相談しやすい国内メーカーであるという点も、スター精密が選ばれる理由のひとつ。加工ニーズに対し、技術力と柔軟性でフルカバーしてくれるラインナップと機能性の高さは、スター精密のHPで詳しく見てみてね。
本社所在地 | 静岡県静岡市駿河区中吉田20-10 |
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電話番号 | 0537-36-5586(機械事業部) |
公式URL | https://star-m.jp/ |